胃癌(st1B)体験記、ときどき映画

42才、胃癌(st1B/印環細胞)体験記。趣味は映画鑑賞です

映画:動物世界

監督:ハン・イエン
cast:
リー・イーフォン
チョウ・ドンユイ
マイケル・ダグラス

あらすじ:
友人に裏切られ多額の借金を背負ったカイジは、謎の組織に捕獲され逃げ道のないギャンブル船・エスポワールへ乗船。騙し合いと駆け引きが明暗を分ける「限定ジャンケン」に挑む。

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退院した日にネットフリックスで見たのがコレ。
別に面白くないならそれでも良いし、なんか派手なやつが見たかったんです。退院記念に。


端的にいうと、圧倒的良作…!!

原作と違って、カイジがえらくイケメンな理由(病気の母とか大事な幼馴染とか)でエスポワールに乗るんだけど、でもまあそんな好青年エピソードはどうでもいい。

とにかく、映像がエキセントリックで緩急あって楽しい!!
原作が面白いからストーリーは基本的に面白いし、限定ジャンケンのゲーム画面っぽい見せ方も楽しくて、実写化としては傑作なんじゃないかなあ。日本版見てないけど。

オールドボーイみたいに、原作とは違う世界観で完成された作品です。

中国語はどんなニュアンスかはわからないけど「動物世界」っていう語感がまた良いよね。

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胃癌(st1)の生存率と再発率を医師に聞いてみた

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ネットやら専門書やらで調べたけど、「胃癌手術後の5年生存率」という統計はあっても「再発率」のエビデンスは見つけられなかった。
数十年にわたって術後患者の動向を追うだけでも大変なので、生存状態まではデータ化してないのかもしれない。(私が探しきれなかっただけかもしれません)

どうしても気になったので、退院前日、主治医に「再発率の割合」を聞いてみた。
その時の主治医の答えは、
「5年後に亡くなってる人はつまり再発したということ。
ただ、再発後、治療して生存している人は亡くなってる人よりも多い。
亡くなってる人の割合が4、5%なら、それに+10%くらいの割合が再発&生存と考えられる。
さらに、このデータ自体が10年以上前のものなので、医学の進歩とともに全体的な癌患者の生存率も向上してるだろう」
とのこと。


5年間、再発せずに生き延びる。

確率でいえば可能性は高い。高い、というより完全に狙える数字だ。
betするものが自分の命じゃなきゃ、全賭けしてもいい。

安堵も、諦念も、「デスコースまだ残ってんじゃねーか」という落胆も、ごちゃまぜになって、
それでも、ほっとした。

先生、ありがとうございました。


「st1の胃癌なんてよくあること。5年生存率は96%」

統計的にもそうだし、医師も言ってる。もちろん私もそう思ってる。
ただ、ふと、休みの日にひとりでぼんやり歩いてる時なんかに、
たまに「私みたいな元癌保有者が20人位いたとして、そのうち1人は5年以内に死ぬかもしれないんだな」って、漠然と思う。
それが恐怖なのか諦念なのかなんなのか、あるいはほっとしているのか、
今だにじぶんでもよくわからない。


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よくあることなら大抵のことには慣れる

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入院する時、4人部屋を選んだ。

スペースはゆったりしていたし、子供と夫がたまに寄るだけだったので、ひとり過ごす分にはちょうど良かった。

病室のカーテンは防音効果ゼロなので、同室の患者さんの病状はなんとなく聞こえてきた。
私より若い患者さんもいた。
私の入院中、入れ替わっていったけれど、癌じゃなくてもみんなどこかしら悪かった。

看護師さんたちは毎日、患者の状態の引き継ぎをしていて、何人かの看護師さんがローテーションで私の傷の具合、血圧などを記録していった。

体調が良い日は、病院1Fの癌情報コーナーに行って、専門書を読んだりした。
1Fのロビーは、相変わらず人が多かった。

1週間以上も病院で過ごしていると、多かれ少なかれ、みんなどこかしら病気であることがデフォになる。
告知された当初は「癌である自分」を持て余していたけど、
その頃には「血液型はAB型です。癌は胃癌(st1)です。趣味は映画鑑賞です、ネットフリックスですけど(微笑)」くらいには慣れた。

廃液の管も取れて、痛みもすっかり和らいだ。
食事も時間をかければ食べられるし、もうひとりで入浴もできる。

だけど、自分の体に慣れてきて退院も間近になった頃、「再発の可能性」に心乱されることになる。


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廃液とトネガワと回復していく体

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胃を切ると傷口の周辺から廃液がでる。
それを管から体外に排出していくのだけど、この管は退院ぎりぎりまで抜けなかった。

「もう止まってきてもいいんですけどねー」と言われつつ、
ダバダバなので、管を抜いて穴を塞いでもらった。

ところでこの廃液だけど、
なんていうか、、色が、逆に綺麗なのだ。
すごくビビッドっていうか。

ものすごく気持ち悪いのだけど、
こっそりグラスに入れられてフルーツジュースて言われたら絶対飲む。
それくらい綺麗な色。
しかも、日替わりでオレンジだったり柘榴だったりする。


術後1週間。
しょうもない想像をできるくらい、私の体は回復していった。



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生きてるだけで丸儲けなんて思えない

 2018年秋、st1の胃癌になった。

この、私ことかせんの「かせん癌事件」は、私と私の周りにとってはスクープだったのだけど、他人にとっては違う。

いつぞや、どこかのダムの迷い猪がニュースになったけど、あの手この手で逃がそうとする密着報道も、さすがに3日以上経った日にゃ「知らねーよ食っちまえよ」と大多数の日本国民が思ったであろう。私の癌事件も、その猪事件さながらです。

でも、私が今さらその癌事件を、わざわざ不特定多数の人に公開してるのは、事件の顛末じゃなくて、事件後の思いを誰かに聞いてもらいたいからなのだと思う。

ちょっとずつ書いていきたいので、読んでくれたら嬉しいです。

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癌になるまでもなく、誰だって荷物を抱えて人生歩んでる。
私だって、この平和な日本の下流においてゴチャゴチャ抱えて歩んでる。
癌になる前もそれなりに幸せだったし、今でも幸せだと思う。

ただ、癌になったことで、やっぱり荷物が重くなったなあと感じる。

1つは、幸運にもst1で生還できたというのに『生きてるだけで丸儲け』と思えない罪悪感、なのだと思う。

日常生活が戻ってきたのに。
不安で、忙しくて、でも幸せな日常に戻れたというのに。

癌だと告知された時、st1だとはっきりするまで、
私が近いうちに死ぬとして、その時に子供に残せるものの少なさに愕然とした。
時間も、愛情も、お金も、足りなさすぎた。
もちろん私が死んでも夫がいるのだけど、私たち家族は、3人だからやってこられたのだ。
急に1人が欠ければ、苦労しないわけがない。

見てもいない子供の泣き顔が浮かんで、足りないものが多すぎて、心底、ほんとうに心底怖かった。
あの時の怖さはいまだに引きずっている。

そして、そんな卑小な自分がいる一方で、
st3以上の癌を患っても、前を向いてまっすぐに人生を歩んでる人や、
末期癌を患っても、「誰かに恩返しがしたい」と願い最期まで強く生き抜いた人もいる。

その事実に、どうしようもなく罪悪感を覚える。

「それは世界で何番目の悲劇だ?世界中で一番悲劇なのは誰だ?それを気にしてどうする?
誰だって悲しみを抱えてる。胸の奥に押し込んで、そうやって生きてる。胸の奥に押し込んでしまえば、鈍い痛みになる」

そう思うのだけど、私はまだまだじぶんの卑小さに慣れることができずにいる。

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