胃癌(st1B)体験記、ときどき映画

42才、胃癌(st1B/印環細胞)体験記。趣味は映画鑑賞です

2018-01-01から1年間の記事一覧

映画:凶悪

監督:白石和彌cast:山田孝之、ピエール瀧、池脇千鶴、リリー・フランキーあらすじ:ジャーナリスト藤井の元に、ある凶悪事件の死刑囚・須藤から手紙が届く。面会に訪れた藤井は、須藤自身の余罪とともに、隠されていた首謀者の存在を聞かされる。その首謀…

なんということでしょう。下腹部がタヌキです。

退院して、ムリしないように日常に戻っていった。ダンピング症状もあまりなかったし、体も動かせるようになった。傷は痛いけど、まあ術後初日の激痛に比べたら、かすり傷みたいなものだ。下腹部の違和感を感じたのは、退院初日の夜だった。これは本当に、な…

退院の日。久しぶりにアパートの畳の匂いを嗅ぐ

手術の前日に入院して、術後きっかり10日で退院した。10日ぶりのシャバはあたりまえだけど、何も変わってなかった。入院の時に着てきたコートがほんのすこし肌寒かった。私の胃が10日前より小さくなったってだけ。もしかしたら5年後、私が生存してないかもし…

映画:動物世界

監督:ハン・イエンcast:リー・イーフォンチョウ・ドンユイマイケル・ダグラスあらすじ:友人に裏切られ多額の借金を背負ったカイジは、謎の組織に捕獲され逃げ道のないギャンブル船・エスポワールへ乗船。騙し合いと駆け引きが明暗を分ける「限定ジャンケ…

胃癌(st1)の生存率と再発率を医師に聞いてみた

ネットやら専門書やらで調べたけど、「胃癌手術後の5年生存率」という統計はあっても「再発率」のエビデンスは見つけられなかった。数十年にわたって術後患者の動向を追うだけでも大変なので、生存状態まではデータ化してないのかもしれない。(私が探しきれ…

よくあることなら大抵のことには慣れる

入院する時、4人部屋を選んだ。スペースはゆったりしていたし、子供と夫がたまに寄るだけだったので、ひとり過ごす分にはちょうど良かった。病室のカーテンは防音効果ゼロなので、同室の患者さんの病状はなんとなく聞こえてきた。私より若い患者さんもいた。…

廃液とトネガワと回復していく体

胃を切ると傷口の周辺から廃液がでる。それを管から体外に排出していくのだけど、この管は退院ぎりぎりまで抜けなかった。「もう止まってきてもいいんですけどねー」と言われつつ、ダバダバなので、管を抜いて穴を塞いでもらった。ところでこの廃液だけど、…

生きてるだけで丸儲けなんて思えない

2018年秋、st1の胃癌になった。 この、私ことかせんの「かせん癌事件」は、私と私の周りにとってはスクープだったのだけど、他人にとっては違う。いつぞや、どこかのダムの迷い猪がニュースになったけど、あの手この手で逃がそうとする密着報道も、さすがに3…

胃「今日も休み?」腸「今日も休み?」私「米汁(十分粥)いきまーす」

術後5日から、流動食が始まった。お湯に、米やら味噌やらを溶かした生ぬるい汁をすすると、身体中からぶわっと汗が出た。胃と腸がパニック起こしてるのがわかる。「無理せず残していいですよ」という看護師さんの言葉に甘えて、半分残す(美味しくない)。ケ…

映画:ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

監督:トーマス・ヤーンcast:ティル・ジュワイガーヤン・ヨーゼフ・リーファースあらすじ:病院で偶然同室になったマーティンとルディは、共に余命短い末期患者だった。ふたりは病室で葉巻を吹かしながら、どうせな死ぬ前にら海を見ようと意気投合。病室を…

プレゼント・ニュー・ストマック!!

術後2日。痛みのピークが過ぎる。初日、あれがほんとに山場だった。3、4日と過ぎると、痛みはまあきついけど動けるようになった。脊髄の管(麻酔用)が抜け、左手の甲の点滴も抜け、私は少しずつ身軽になっていった。3日ぶりに看護師さんに髪を洗ってもらっ…

そりゃあ胃を切ったけど、こんなに痛いもんかね

術後初日。もうろうとしてた意識がはっきりしてからが、まあきつかった。どこが痛いですっていうレベルじゃない。もう、どこもかしこも痛い。まず元凶の切り貼りされた胃が痛い。腹腔鏡差込口×5箇所が痛い。横腹から出た管(ドレーン)が痛い。寝すぎて首も…

生還

目が覚めた時、薄暗い病室で寝ていた。医師も看護師も、待ってくれていたはずの家族もとっくに引き上げていて、窓の外が真っ暗だった。ちょっと混乱した。というか、痛い。体が痛い。唇カッサカサ。口の中の水分吸い取られてるんだけど。私リッツでも食べた…

映画:もののけ姫(病室にて)

入院3日目に、金曜ロードショーで久しぶりに鑑賞しました。 設定が複雑で置いてけぼりになるけど、まあ、雰囲気で追っていきました。ナウシカもだけど、もののけ姫の登場人物たちも、みんなすごい自己主張してくるなー。もっとこう、人(動物)の話聞けない…

手術の日

手術当日。これで私の胃に棲みついた癌は、胃の2/3と周辺リンパ節、胆嚢を道連れに、きれいさっぱりなくなるはず。再発やらなんやら心配事はまだまだあるけど、とりあえずこの手術が終われば、すこし前に進める。放心したような気持ちで手術台に寝そべった。…

さよならスモーキングライフ

入院前日。検査ラッシュのさなかは感情も忙しかったのだけど、とりあえず手術の余地はあることがわかってからは、気持ちは落ち着いていた。明日から入院、手術だと思うと、やっとあやふやな状態から解放されるという安堵があった。じりじり待つのはもうごめ…

デロリアンに乗りながら

胃癌告知からの、怒涛の検査ラッシュ。初めてのMRIは、ちょっと面白かった。音も光もにぎやかで、なんか20年前のSF映画みたい。音質の悪いヘッドホンからクラシックが聞こえてきたけど、いっそのことバックトゥザフューチャーのテーマでも流せばいいのにとか…

映画:死ぬまでにしたい10のこと

監督・脚本:イザベル・コヘット製作:ペドロ・アルモドバルcast:サラ・ポーリースコット・スピードマンデボラ・ハリーマーク・ラファロアルフレッド・モリナあらすじ:23才のアンは働きながら、夫と2人の娘とトレーラーハウスで暮らしていた。貧しくも幸せ…

真綿で首を締められるような

舞台が総合病院に移った。初めての診察は、まあ、内科で言われたことと同じ。全身検査をして病状を確かめつつ、癌の発生箇所が胃だけなら2/3の摘出手術をしましょう、という流れ。冷静にしてたつもりが、不安で不安でやっぱり涙ぐんでしまう。先生は優しく、…

爆弾投下

診断は、やっぱり胃癌。しかもスキってた。(スキルス性)いちばん知りたいのはその先なのだけど、開腹してみないと、正確なstとレベルはわからないとのこと。ただ、大きな病院で精密検査をすれば予測はつけられると。結局その日は、はっきりしたことは何も…

グーグルの検索履歴が一気に禍々しくなった

来院の日。電話の時点で胃癌なのは明らかなので、これからのことを決めなきゃならない。一夜漬けでひととおりググってみると胃癌の場合、ざっくりと初期癌はイージーモードst1〜2はノーマルモード(スキルス性だとちょっと難易度高め)st3以上はハードモード…

「悪いもの」

内視鏡検査から10日。ほんの束の間の平和が脆くもくずれたのは10月3日だった。仕事中、知らない番号から電話があった。その時私は、タバコを吸いながらスマホでラインか何かを見ていた。慌てて電話に出ると、内科の院長先生からだった。もうこの時点で嫌な予…

胃癌確定の日

2018年の春に、市の癌検診に行った。母が末期の癌で亡くなっていたし、40才になって、こう、自分の身繕い?というか、一度自分の状況整理をしておこうと思ったのだ。検査結果は白。ほっとした。40才もがんばっていこうって思ったのが、5月のことだった。今年…