胃癌(st1B)体験記、ときどき映画

42才、胃癌(st1B/印環細胞)体験記。趣味は映画鑑賞です

生きてるだけで丸儲けなんて思えない

 2018年秋、st1の胃癌になった。

この、私ことかせんの「かせん癌事件」は、私と私の周りにとってはスクープだったのだけど、他人にとっては違う。

いつぞや、どこかのダムの迷い猪がニュースになったけど、あの手この手で逃がそうとする密着報道も、さすがに3日以上経った日にゃ「知らねーよ食っちまえよ」と大多数の日本国民が思ったであろう。私の癌事件も、その猪事件さながらです。

でも、私が今さらその癌事件を、わざわざ不特定多数の人に公開してるのは、事件の顛末じゃなくて、事件後の思いを誰かに聞いてもらいたいからなのだと思う。

ちょっとずつ書いていきたいので、読んでくれたら嬉しいです。

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癌になるまでもなく、誰だって荷物を抱えて人生歩んでる。
私だって、この平和な日本の下流においてゴチャゴチャ抱えて歩んでる。
癌になる前もそれなりに幸せだったし、今でも幸せだと思う。

ただ、癌になったことで、やっぱり荷物が重くなったなあと感じる。

1つは、幸運にもst1で生還できたというのに『生きてるだけで丸儲け』と思えない罪悪感、なのだと思う。

日常生活が戻ってきたのに。
不安で、忙しくて、でも幸せな日常に戻れたというのに。

癌だと告知された時、st1だとはっきりするまで、
私が近いうちに死ぬとして、その時に子供に残せるものの少なさに愕然とした。
時間も、愛情も、お金も、足りなさすぎた。
もちろん私が死んでも夫がいるのだけど、私たち家族は、3人だからやってこられたのだ。
急に1人が欠ければ、苦労しないわけがない。

見てもいない子供の泣き顔が浮かんで、足りないものが多すぎて、心底、ほんとうに心底怖かった。
あの時の怖さはいまだに引きずっている。

そして、そんな卑小な自分がいる一方で、
st3以上の癌を患っても、前を向いてまっすぐに人生を歩んでる人や、
末期癌を患っても、「誰かに恩返しがしたい」と願い最期まで強く生き抜いた人もいる。

その事実に、どうしようもなく罪悪感を覚える。

「それは世界で何番目の悲劇だ?世界中で一番悲劇なのは誰だ?それを気にしてどうする?
誰だって悲しみを抱えてる。胸の奥に押し込んで、そうやって生きてる。胸の奥に押し込んでしまえば、鈍い痛みになる」

そう思うのだけど、私はまだまだじぶんの卑小さに慣れることができずにいる。

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